東宝ビデオのシネパック第一弾として、1991年11月8日にリリースされたのがこの『ミカドロイド』である。
　　第二次大戦末期、敗色濃厚(hou)な日本(ben)。その中で帝国陸軍(jun1)が極秘裏に研(yan)究していた秘密(mi)兵器、それが人造人間“ジンラ號”。敗戦とともに歴(li)史から抹消されたジンラ號であったが、空襲で埋没(mei)した研究(jiu)所の中、眠(mian)り続けていた一(yi)体があった。そして今(jin)、半世紀の歳月を経(jing)て、ジンラ號が東京の地下に蘇る！　ふとした偶然でその地下(xia)迷(mi)宮に迷い込んでしまった若い男女二(er)人は何(he)を見るのか？　未完成の人(ren)造人間として老いる事(shi)も出来ずに彷徨い続(xu)けてきた謎の男、彼(bi)は一体(ti)何(he)を望むのか？　本作は舞台となる場所と時間(jian)が狭い範(fan)囲(tong)に限定されているため、物語の密度(du)が濃く、一夜(ye)限りの幻(huan)想(xiang)的な悪夢のような作品となっている。
　　ジンラ號のデザインを担(dan)当したのはイラストレーターの明日蘭。蒸(zheng)気(qi)機(ji)関車のような旧式なラインでまとめられているジンラ號は一見(jian)ユーモラスで鈍重な外見だが、内に潜ませた悪夢(meng)と狂気が不(bu)思(si)議な説得力を持ち、印象深い仕上がりとなっている。またジンラ號(hao)専(zhuan)用武器として設計されたという設定の“１００式短機関(wan)銃改「ベ式」テラ銃”は、当(dang)時(shi)の落下(xia)傘部隊が使用した実銃をモチーフにいかにもそれらしくまとめられており、ジンラ號の設定をよりリアルな物としている。その他(ta)、南部十四年式拳銃(chong)や９６式軽機関銃などの各種プロップガンもリアルな作動(dong)シーンを見せて画(hua)面を引き締めている。
　　監督を務めたのは特殊メイククリエイターとして有名な原口(kou)智(zhi)生。本作は原口自(zi)身が長年あたためてきた企画(hua)で、原口の監督デビュー作(zuo)となった。